JR四国松山〜宇和島100キロ貫歩

かずまる父単独編(2)

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第2回目 伊予大平〜伊予立川14・1キロ(逆行、実距離18・3キロ)

  

  

(クリックすると拡大します。なお、この航空写真は国土交通省のサイト「国土情報ウェブマッピングシステム(試作版)のご利用に当たっての注意事項」に基づき記載しております。)

11 月10日(金)、今日は前半最大のヤマ場である。犬寄峠を越える。予讃線犬寄トンネルは全長6012メートル、伊予大平〜伊予中山間で7・4キロなのだ が、この間の国道56号は少々古いため、歩道が完備されていない。従って、さらにその上にある旧犬寄峠を越えようとしているのだが、本来の意味での旧犬寄 峠は、山の南側斜面を走っているため、眺望に欠けるようだ。従って、私は県道中山伊予線である源氏〜平岡経由で約11・3キロを通り抜けることにした。

  

左:4633Dの出発、後で1053Dで追いかける、右:1053D入線

こ の場合、伊予中山駅の標高が約180メートル、峠が約380メートル、伊予大平駅が約60メートル。約8キロで200メートル登って、残り約3キロ余りで 320メートルを一気に下るコースである。だが、今回は行程の都合上、伊予立川〜伊予中山間のJR営業距離6・7キロ、走行約7・0キロを余分に歩くこと にし、全行程18・3キロという、まさに箱根駅伝で言う「花の2区」になってしまった。

松山駅からは8時39分発の 4633Dに乗車すればよいのだが、私は9時00分発1053Dで伊予市で4633Dに乗り換える。この当たり、快てーき所持者にとっては大変ありがた い。本来、定期は決められた区間のみ有効という考えかただし、実際ドイツではその区間きっちり乗車しなければ、途中下車しようものなら正規の運賃をとられ るという。日本のJRも、どうかと正式に言えば「額面どおりの区間でなければ使用できません」という回答が来る。これは、以前の仕事で出張旅費と定期券区 間がダブったときの取り扱いで確認した。だが、日本には途中下車前途放棄という考え方がある。つまり、松山から伊予市までの切符を買って、途中の北伊予駅 で下車して前途放棄することは可能、という考え方があるため、定期区間の自由乗降については一応黙認という考え方なのだろうと勝手に考えている。いずれに しても、実際にはそれで咎められることはない。

4633Dは前回と今回の終着点伊予大平を過ぎると、まもなく犬寄Tに 入る。このトンネルは全長6012メートルでその間に約90メートル登る。2000系の場合は登りは約3分20秒、下る場合は約3分で通過するが、このキ ハ32-10はなんと登りトンネル内に7分50秒もいた。ものすごい速度差である。あらためて2000系の速さを実感するが、その代わり、2000系で は、馬車馬のように走らせるような、途中でエンジンをふかしなおすような、あの感触がなく、まあ行きましょうかという穏やかな感じがある。特急と普通では 大分乗り心地が違う。

  

左:1053D伊予市出発、ここから先ほどの4633Dに乗換え、右:伊予中山駅を通過する1056D

伊 予中山駅で9分停車し、その間に1056Dが通過していく。この1056Dは朝一の1051D折り返しである。その間3名ほどいた乗客はみんなトイレへ駆 け込む。JR四国のキハ32やキハ54、7000系電車などはトイレの設備がないが、駅にもトイレの設備のないところが結構ある。今日の終着地伊予大平も そうだ。「この列車にはトイレの設備がありません。ご了承ください」という車内案内があるが、万一のときはどうするつもりなのだろうか、と思う。かつて明 治時代初頭のように罰金をとるのだろうか?

2000系が快適に走るのは、松山〜五十崎間と伊予石城〜卯之町くらいのも のだが、この伊予中山〜伊予立川間はよくみると、結構カーブが多い。路盤はかなり強固なものだろうが、思った以上にカーブがきついことに今気づいた。すで に伊予大平の駅は昭和49年航空写真を見るとその形がはっきりと見える。予讃新線(内山新線)が開通したのは昭和61年開業だから、当初から振子式列車の 開発を考えていたとは思えない。まあ、それはともかく、2000系にとっては本領発揮というところか。ただ、伊予中山〜内子間のトンネル断面はかなり小さ く、トンネルに突入したときの窓のきしみ、耳つんはすさまじいものがある。犬寄Tは長いから、一度突入してしまえば、あとは苦痛ではなく、内子〜五十崎間 は内子停車で速度が落とされており、それ以南は、元々の速度が遅いから、耳つんは知れている。内山新線を電化して8000系が走れば、時速160キロも夢 ではないが、トンネル断面を考えると、とんでもない話のようだ。

  

左:伊予立川で4633Dを見送る、右:伊予中山〜伊予立川間1055D

そうこうしているうちに、4633Dは9時46分定刻に伊予立川に到着する。このあたりの道路の標高は約100メートル。ここから伊予中山までの7・0キロの間に約80メートル登ることになる。

登 るといっても、国土交通省所轄の国道だし、たいした苦痛にもならないのだが、問題は歩道整備である。現在あちこちで歩道工事は行われているが、それでも一 部は全く歩道がない場所も少なくはない。道路のカーブが多いだけに、車が万一ハンドルを切りそこなったら逃げようのない場所も結構ある。果たしてかずまる を歩かせてよいのかという気がしないでもない。

中山花の森ホテル下のJRとの交差部で1058Dが通り過ぎる。時刻は10時53分。歩きはじめて1時間ちょっとというところだが、すでに中山の街の南に到着した。思ったよりも早く着いたようだ。この後、近くのコンビにで昼食を買って、伊予中山駅のホームで休もうと思う。

  

左:中山花の森ホテル下、国道56号交差部を通過する1058D、右:伊予中山駅を通過する1057D

伊 予中山到着は11時20分頃、ここで小休止。7キロを1時間30分で歩いたことになる。平均速度時速約4・6キロ、1055Dと1058Dの撮影でそれぞ れ10分近く休憩したことを考えると、まずまずの速さではある。ここからのJRは次の駅までずっとトンネルの中なので、列車を見ることができない。11時 33分に通過する1057Dアンパンマン列車を見送ってから出発する。1号車G車は今日も一般塗装車だった。

これから の11・3キロが本番である。時間は3時間50分。よく考えると平均速度3キロは必要な距離である。伊予中山を出発すると、すぐに急な登り坂が始まる。そ こには歩道が整備されているのだが、そこから佐礼谷の分岐までは歩道がない、というより、現在歩道整備中である。幸い、片側交互通行なので、その工事区間 を整備員に守られて歩けたのだが、ここも不安材料ではある。が、それよりも問題は、歩道整備中で、以前設置されていた自動販売機が撤去されているのであ る。これは誤算だったが、幸い、国道から分かれたところに一軒の酒屋があって、そこで販売種類の少ない中から飲料物を調達する。

  

左:佐礼谷の風景、右:旧犬寄峠・源氏越えからの伊予市方向の風景

国 道から分かれて県道中山伊予線に入るが、2車線の道はすぐに狭くなる。道は、急坂ではないが、確実に登っているのが判る。日浦の三叉路付近に郵便局があっ て、その前に自動販売機があるが、それが唯一の飲料調達地点であった。日浦の三叉路で時刻は12時10分、伊予中山駅から4・6キロを40分で走破したこ とになるが、誤差があるのかもしれない。

あとは、源氏集落を抜けて、ただひたすら歩くだけである。だんだんと足腰が痛 くなってくるのが判る。伊予中山からだけではなく、伊予立川からの余分な距離が案外ボディブローとなってきているのかもしれない。そして、13時15分 頃、突然目の前の坂道が終わりを告げる。伊予立川から13・5キロ(端数誤差あり)を3時間30分、伊予中山から7・6キロを1時間40分、日浦分岐から 3キロを約1時間(やっぱり誤差があるかもしれない)かかって、ようやく峠にたどり着く。

  

左:伊予大平駅付近を通過する1061D、右:伊予大平駅付近を通過する22D

たどり着いたところは、「海ですよ!!」 とひとりで絶叫してしまうほどの眺望であった。まさにここは、伊予大平から見る旧犬寄峠「源氏越えの壁」の頂上近くなのである。あと2時間で下まで行かな ければならないというプレッシャーはあるが、ここはひとつ絶景を眺めたくて、しばし腰をおろす。ちょうど13時28分に1061Dが通過していく。

が、 下りに入ったところで、すでに私の足は限界が近いらしく、思ったよりスピードが上がらない。スピードを上げる必要もないのは、すでに私の持っているデータ から一目瞭然ではあるのだが、どうしても下り道ではスピードを上げたくなる。峠から2・1キロ下ったところ、13時51分に22Dが通過していく。さきほ ど伊予中山駅で見たアンパンマン列車が宇和島まで行って帰ってきたのである。

  

左:源氏越え、平岡集落の壁、右:伊予大平駅を通過する9D

前回は1061Dは伊予市駅で、22Dは北山崎小学校で見たわけだから、すでに視界に入っている伊予大平までの道のりは前回よりも早いことは判っている。

結 局は残り1・6キロに40分かかって、伊予大平に到着する。あと20分早ければ4644Dに間に合ったし、あと10分早ければ松山市駅行きのバスがあった のだが、それはそれで実に私らしいことである。4648Dの到着時刻までは50分程度あるので、ベンチにひとり転がって休む。幸い、あまり寒くもないし、 そうしているうちに、前回同様4648Dがやってきた。

  

左:伊予大平駅を通過する1064D、右:伊予大平駅に到着する4648D

松 山到着も前回と同じ15時49分。これでJRで31・0キロ(営業距離96・9キロ)、走行距離は39・9キロ(全行程121・9キロ)とほぼ全体の3割 を制覇したことになる。が、旧道峠はあと2箇所(夜昼峠、法華津峠)、新道峠が1箇所(笠置T)と、まだまだ先は長いようである。 (2006.11.14)

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