JR四国松山〜宇和島100キロ貫歩

かずまる父単独編(6)

愛媛の「鉄」の紹介 > かずまる特攻隊が行く > 目次 > 6回目
 
第6回目 卯之町〜伊予吉田11・9キロ(実距離19・4キロ)

  

  

(クリックすると拡大します。なお、この航空写真は国土交通省のサイト「国土情報ウェブマッピングシステム(試作版)のご利用に当たっての注意事項」に基づき記載しております。)

2 月23日(金)、年度末は何かと用事が控えており、この日が今年度最後の金曜日休暇となる。だから、いよいよこの企画の佳境を越えておきたいと考えた。 が、当初の天気予報は雨。今まで、たとえ予報が雨でも、執念で乗り切ってきた。が、それもいよいよ尽きたか、と思った敢行前日。午前中には遅くとも雨は上 がり、午後からは晴れるという予報に変わった。

当初の予定を遅らせて、1057D〜1070Dとするなら、1070D は目的地伊予吉田に停車する。それなら、いっそ一度出勤して、1062Dで宇和島から卯之町へ行った方が手っ取り早い。休暇も5時間ですむ。が、その方法 はやめた。上司に「こいつは、休暇の片手間に仕事に来とるんかい」とも思われたくない。というわけで、最後の最後に23日の休暇を決断したのであった。

  

左:卯之町駅、右:卯之町駅到着する1058D

23 日(金)朝6時前に起きてみると、雨が降っている。が、天気予報の雨レーダーを見る限り、まもなく上がる。宇和島ではすでに雨が上がっているようだ。やは り、天は我に味方した。が、念のために、1001D〜1066Dを見送り、1053D〜1068Dコースにした。出発は午前8時半、帰宅は午後5時半。

ともかく、前回の単独編第5回目と同様、1053Dで卯之町へと向う。すでに雨の心配は全くなく、時折陽がさしている。風も思ったより強くないが、山頂で強くなるのかもしれない。

今 回のポイントは、果たして野福峠を登れるかどうかである。法華津峠の旧道は自家用車でも登ったことがある。が、野福峠は、現在の整備された県道の野福トン ネルの真上にある旧県道俵津トンネルの手前から、2万5000分の1地図では実線となっている道路を通って、野福峠の尾根を走る林道へ出られるのか?通る ことができるような道でない場合は、照明設備のない一車線の暗く狭いトンネルを通れるのか?その後、「愛媛県の山(山と渓谷社)」の登山道には書かれてい るが、2万5000分の1地図には載っていない道を通って、法華津峠へ出られるのか?

考えてみれば、野福峠を抜けると いうことは、下宇和駅を無視することであり、なぜわざわざこんなルートを通るのかというと、元々この企画は「牛ノ峯登山」で本格的登山に挫折したところか ら始まっているのである。その登山プランの中にある「高森山ルート」の中に、高森山〜法華津峠〜野福峠コースがあるため、多分景色がいいだろうと思い、 JR路線を無視して、このコースを選んだのであった。

  

左:旧県道から林道への分岐、右:旧野福峠

卯 之町駅を出発して、国道56号へ出た後、国道の法華津トンネル手前で県道宇和明浜線へ右折し、さらに、途中から県道の旧道へと歩く。朝、寒冷前線が通過し たため、同行編第2回目のような事態を想定していたが、思ったより風がない。それどころか、ぐんぐんと気温が上がっているようだ。ベストは最初からリュッ クに納め、ウインドブレーカを腰に巻きつけたが、上り坂ということもあって汗が尋常ではない。これが2月か?というより、単独編は6回とも、季節外れの陽 気である。雨に降られるよりはマシだから文句を言ってはいけないが、この後風が出てきたときに、汗をかきすぎていると、かえって風邪をひかないか心配にな る。

卯之町を出て約1時間、いよいよ俵津トンネルというところで、その手前に直接頂上線へと向う林道に出る。コンク リート舗装されている、しっかりとした道である。というより、平成2年に整備された林道で、幅員3メートル。旧県道並に立派な林道である。これでほぼ当初 の心配はなくなったが、歩く距離は伸びそうだ。

林道を20分ほど登っていくと、地図の形どおりに頂上線へと到着する。木々の隙間から、宇和海が広がり、その向こうに日振などの島影が列をなしている。さすがに九州までは見えなかったが、今回も大変天気が良い。

  

左:法華津峠、右:法華津峠展望台からの風景

そ こからは、頂上線を東へと進んでいけば、法華津峠へと行き着くことができる。頂上へ出たことで、風が冷たく感じられてくる。が、幸いなことに、まだ風は強 くない。俵津トンネルの真上まで来ると、野福峠という標識が見えた。トンネルができる前は、ここが生活道路だったのであろうが、さすがにこの道は歩けない ほどに荒れている。

しかし、ひとつ誤算があった。思ったより吉田側の眺望が開けないのである。宇和側の林道だからある 程度は仕方ない。頂上線とは言っているが、実際には若干宇和側に道路がある。そして、途中から南側、すなわち吉田側を見ると、なんと、そこにも林道がある のである。ひとつの山頂部分に2つもの林道は不要だと思うが、このあたり、西予市(旧東宇和郡宇和町)と宇和島市(旧北宇和郡吉田町)の境界というだから ということなのだろうか。

2本の道路はかなり並行したところで、合流する。吉田側の道路の方が荒れているのだが、「四国のみち」に指定されている。本来、私が歩く予定だった道路ではある。そっちの道路は今日などはぬかるんでいるのだろうが、景色は良かったのだろう。

こ の時点で予定よりも5分遅れで歩いている。今回は、伊予吉田での余裕時間が20分ほどであるが、今日もあまり余裕はない。このあたりで、1062Dを望む はずだったのだが、結局は予讃線を見ることなく、法華津峠へと出てしまった。そういう眺望事情だったのであれば、わざわざ野福峠をと売る必要もなく、下宇 和駅から素直に登ってくるべきだったのだろうが、それは結果論であって、後悔することもあるまい。

  

左:法華津峠から見た1057D、右:法華津峠の旧道の途中で見た22D

が、 よく見ると、宇和側から法華津峠への道は前面通行止めで、今私が歩いてきた道が迂回路になっている。徒歩の場合が判らないのと、「工事区間よりも手前の用 事のある場合以外は通行止め」という書き方になっている。実は、近い将来、同行編で下宇和から登ってくる予定があるのだが、その場合はどうなのか、そし て、道路事情はどうなのか、それを確認する機会であったのだが、全く忘れてしまっていた。それを思い出したのは、法華津展望台直前にある高森山へと続く林 道を見たときであった。引き返すには距離があるし、時間もあまりない。なんと言っても、まもなく1057Dがやってくる。

こ の100キロ貫歩は、先に述べたとおり、この展望台から眺めた風景がまずありきであった。しかも、まもなく1057Dアンパンマン列車がやってくる。 1057Dを待つと、当初予定よりも10分ほど遅れるが、それを待たないわけにもいかないだろう。が、列車が通ったときは感動したが、実際に写真にしてみ ると、列車があまりにも小さく見える。撮影だけにこだわるならば、国道56号からの撮影のほうが良いようだ。

1057Dが通り過ぎた後、展望台を出発し、旧道を下る。あまり時間的余裕はないのだが、そうは言っても、やはり列車の撮影は優先させたいと思う。

  

左:立間駅1064D、右:立間駅729D

と いうわけで、22Dを撮影するために10分ほど待ったりするものだから、予定時間がどんどん遅れる。次の1059Dに至っては、地図を見ると、通過予定時 刻には線路をかなり離れた、谷奥を歩くことになる。かといって、待つのは危険だし、急いで列車の見える場所へ間に合うか判らない。下りということもあっ て、早足で急いでみる。が、最後は相当走って、なんとか線路の見える場所までたどり着いたが、たいした写真は撮れなかった。

途 中で走ったせいもあって、なんとか国道に出たときには、逆に10分以上予定より早い13時30分頃であった。ここから立間駅までは、線路と国道は山ひとつ 隔てて敷かれている。さっき1059Dが通過したところだから、次の折返し1064Dは立間駅を13時58分頃に通過する。当初予定では、線路沿いを歩く ことになっているが、国道を歩いた方が距離が短いし、歩道もある。ということが判っているのに、何を考えたか、旧道を歩いたものだから、まさに立間駅到着 と同時に1064Dが通過していく。

ここで、休憩をとろうと思う。あと10分もすれば、4736Dと729Dがここで 退避する。4736Dはかつて牛ノ峯登山の帰りに乗車した列車であり、729Dはこのシリーズでよく見る185系である。太陽の当たる側に座っていたら、 2月だというのに相当暖かい。朝1001Dで出発していれば、738Dで宇和島へ一度行ってから1066Dで帰れるのだが、今日は伊予吉田まで行って、 738Dで卯之町から1066Dに乗り換える。

  

左:伊予吉田駅738D、右:伊予吉田駅9D

4736Dと729Dの発車を見送った後、最後の3キロに挑む。前回もそうだったが、最後に平凡な街並みを歩くと、もはや後は気力だけの世界だけである。速力も落ちてきたが、あと2キロ程度でまだ1時間ある。738Dに遅れることはないだろう。

と 思っていたのだが、吉田高校あたりまでは、時間の貯金を吐き出していたのが、なぜか吉田町内では思ったよりも時間が余った。おかげで、コンビニに寄ること もできた。その近くのバス停でちょうど宇和島行きのバスがやってきた。何を考えたのか、思わず乗ろうと仕掛けてしまって、あわててバスが近づくまでに運転 士に乗らないという合図をした。バスは高校生で満員だったが、ここでバスに乗ってしまうと、わずか100メートルながら区間が途切れてしまうところであっ た。

ともかく、14時過ぎには伊予吉田駅に到着する。1064Dは通り過ぎたところであった。わざわざ大回りをして、 我ながら一体を考えていたのかとも思う。25分ほど待って738Dに乗車する。ともかく、列車に乗ったら座りたい。さきほどのバスが高校生で満員だったか ら738Dも心配されたが、高校生は一人も乗ってなく、ご婦人の8人ほどの団体が乗っていた。伊予吉田停車中に今日の9Dアンパンマン列車が通過する。こ の列車の折返し1066Dに卯之町から乗車する。

さて、このご婦人の団体であるが、半年ほど前にバースデイきっぷで予 土線4843Dから北宇和島駅で738Dへ乗り換えた2名のご婦人がいたが、その時は宇和の明石寺へ行く経路をしきりに738Dの車掌に聞いていた。今日 の団体も全員卯之町で下車したが、普通に宇和島から行く場合は特急に(多分)乗るだろうから、あるいは前回と同じルートの旅行者なのだろうか、そんなにメ ジャーなコースなのかと思う。まあ、私の推測でしかないが。

  

左:卯之町駅738Dと4651D、右:卯之町駅1068D

ともあれ、卯之町から、無事1068Dに乗換え、そのまま松山へと帰った。これでいよいよ、100キロ貫歩単独編は、最終回約10キロを残すのみとなった。多分4月上旬頃に、午後から休暇をとって決行することになるのだろう。

当 分は暗礁に乗り上げた格好の同行編を再考することになるのだろう。同行編は当初14回シリーズだったが、ここへ来てかずまるの1055D出発が難しくなっ てきているので、余裕を持って往路1057Dアンパンマン列車、復路1066Dとして、1回行程を増やそうかと思う。また、笠置越えも諦めて、素直にトン ネルを歩こうかとと思う。予定では、同行編の最終回は5月下旬から6月上旬に終了すると思うのだが。(2007.02.28、写真は全て敢行日撮影)

このページのトップへ >>