2004秋バースデイ切符旅行記

愛媛の「鉄」の紹介へ > JR四国の話題へ  JR四国旅行記 > 2004秋バースデイ切符旅行記

序章 出発までのてんやわんや編

「バースデイ切符」とは、JR四国の企画切符で、出発日が誕生月に限り3日間、JR四国全線及び土佐くろしお鉄道全線の特急、快速のグリーン切符または指定席に何度でも乗り降りできる切符である。今年は、かずまるの未就学児最後の年でもあり、ともかく使用してみようと思う。当初の予定は次のとおりであった。

1日目(木)松山(8M)今治(仕事の帰り)松山
2日目(金)松山(8M)宇多津(33D)窪川(4843D)宇和島(5068D)松山
3日目(土:かずまる同伴)松山(6M〜1006M)高松(3138M)児島(9279D)宇多津(9D)松山

が、今年はなにしろ台風が多い。一度路盤が崩れて、応急処置をしても、次から次へと台風がやってきて元の木阿弥となってしまう。そうこうするうちに私の誕生月がやってきた。だが、最初の週は予讃線がつながっていなかった。第2週は実際には直前に開通したが、台風が近づいていた。第3週は唯一安全な週末だったが、西条祭りに行く予定を立てていた。そして、今週決行する予定であったが、その前日に台風23号が通り過ぎてきた。本当ならばここで1週間先延ばしするのだが、その後を次の台風が追いかけてきている。次週がだめなら後がない。なんとしても今週決行したいと思う。

  

(左:2004.10.23高松駅にて撮影、右:2004.10.24宇和島駅にて撮影)

10月20日(水)に台風が通り過ぎた。翌日からは天気は良い。だが、天気は良くても線路がつながっていなければ何の意味もない。今回の台風は風よりも大雨を降らせながらも通り過ぎた。不安な一夜が過ぎる。線路の路盤が流出したという致命的な話はない。が、翌朝は予讃線では高松〜多度津間、伊予西条〜伊予市間以外は運休、土讃線も多度津〜繁藤間で運転を見合わせている。

バースデイ切符のような企画切符は通常、一度発売してしまえば全線運休でなければ払い戻し手数料をとられるし、一度でも使用すると前途無効になると認識している。性格柄仕方ない。ただ、今回の場合は、災害による不通ということになるから、手数料はいただかない。切符の使用当日でも一度も使用していなければ払い戻しに応じる、とJR側は説明してくれた。とりあえず、21日(木)の初日は使用せず、定期券で出勤する。

21日(木)正午までに、次々と運行再開する。今は西条市内に通勤している昨年の上司にたずねてみると、「そういえば、JRの路盤流出の話は聞いてないなあ」という返事。まだ希望はある。午後4時頃には土讃線が全通する。が、予讃線の観音寺〜伊予西条間は運行再開の話は聞かない。代行バスでも運転されれば、1時間早めて・・・と思うが、JR側は観音寺〜川之江間が運行再開しなければ、代行バスの運行は難しいと言う。

5時が近くなる。もう限界だ。結局、金曜日の予定を3日遅らせて、月曜日に変更することを決める。その夜は、台風による仕事疲れとヤケ酒で必要以上に酔っ払った。帰るときに今治駅窓口で日程変更してもらったが、払い戻し手数料は取られなかった。が、家に帰ってみると、22日朝から予讃線全線運転再開というニュースを聞いた。だが、もう遅い。

このページのトップへ

第1章 10月23日高松・瀬戸大橋編

(以下の撮影日は特に説明がなければ旅行日)

バースデイ切符の初日は10月23日(土)となった。松山発は早朝6時15分。私は時折この時間に出勤することもあるが、果たしてかずまるが起きてくれるのか?だが、今日は楽しいことが待っているという日のかずまるは目覚めが早い。妻の運転でJR松山駅まで送ってもらう。JR松山駅の売店は最も早い店では朝5時40分には開店するが、この時点では品揃えが悪い。かずまるの希望商品が手に入りやすいことと、DVCを買う必要があることから、途中のコンビニに寄ってから駅に着く。

  

(左:壬生川で1001Dを退避、右:伊予西条で5分遅れの1111Mを待つ【拡大可】)

6Mは定刻に松山駅を出発する。が、511Dの姿を見えない。はて?と思っていると、三津浜駅で通過する。いきなりダイヤが乱れているのか?と思うが、511Dは今治始発である。なんで?すると、今治を過ぎたところで、「Island四国」さんから「4M15分遅れ」というメールが入る。4Mが15分遅れて511Dが遅れたとすれば、それは4Mに原因があるということである。が、ともかく、この先ダイヤが乱れるということを意味する。

1001Dは1駅先の壬生川ですれ違う。今日は1号車は「2001TSE」ではなかったが、4号車は「2101TSE」であった。そういえば、最近2000系TSEは別行動をとっているようである。それはともかく、伊予西条では停車したまま動かない。運転室後部に連絡が入る。「・・・第11号、1111M5分遅れ、多喜浜2番から3番へ変更・・・」と聞き取れる。この運転士は「1111M」を「1111メータ」と呼んでいる。まもなく1111Mがやってくるが、運転士は「中萩で待たせばよいのに」と車掌に言っている。現在のところ6分遅れ、この先に徐行区間があることを考えると、運転士としては普通列車に待たされたくないのであろう。

さて、我々が座っているのはグリーン車であるが、どうもこのシートは落ち着かない。背もたれが高すぎて、最前列でなければ視界が悪い。特に中央のB座席の場合、左右の視界も悪い。シートピッチが広すぎて、駅弁を食べづらい、と、どうも我々のような人種には「もったいない」印象を感じる。何も考えず、あるいは寝るにはちょうど良い広さである。途中の車内改札で「途中から乗ってきたら、席を替わってください」と言われるものだから(実際かずまると2席占領しているのだから当然だが)、ホームに着くたびに乗客を確認しなければならない。

  

(左:高松駅に到着した快速マリンライナー【拡大可】、右:マリンライナーと2005D特急しまんと5号)

伊予西条からは、今年の夏以降に土砂崩れで不通になった区間を走る。列車はそのたびに一度警笛を鳴らして徐行する。その状況については撮影してみたものの、「しおかぜのページ」さんのサイトにもあるので、あえて当サイトではアップしないが、伊予西条駅を出てすぐの室川にかかる鉄橋が復旧工事をしている他、多喜浜を過ぎると、徐行区間だらけとなる。

以前、当サイト掲示板に書き込みをされた方で、10Dの場合、新居浜を過ぎると自由席よりも指定席の方が混むという話を聞いたが、私も実際に、高松から坂出まで指定席に乗車した人を見たことがある。今日も伊予三島から数名、グリーン車に乗車してきたし、その後ろの普通車指定席もほぼ満席となった。それよりも、観音寺からの乗客を見ていると、今治のラッシュ時の乗降客に匹敵する。人口に関しては今治のほうが観音寺市の2・5倍あるわけだが、JR利用客については大差がない。高瀬や詫間を見ていても、残念ながら香川県中心のダイヤになっても仕方ないと感じる。

  

(左:マリンライナーと2005D特急しまんと5号【拡大可】、右:高松駅から見た風景)

6Mは宇多津に到着する。ここで、前5両が岡山行き、後3両が高松行きとなる。我々は8号車から1号車へと移動する。一度4号車へ移動して、列車が停車したところで外へ出て、切り離し作業を見る。私は23Mが松山で折り返す時に後3両を切り離すのを見たことがあるが、ガッチャンと切り離して、そのまま発車していく様子にかずまるは感激したらしい。が、感心ばかりして入られない。そそくさと1006Mに乗り込んで、すぐに発車する。が、なんとしたことか、私としては、グリーン車のシートよりも、この普通席の方が落ち着くのはなぜ?1006Mは6分ほど遅れており、1007MのR8000系とは走行中に行き違いをして、8時50分頃に高松駅へ到着する。

まもなく、快速マリンライナーがやってくる。ブルーリボン賞を受賞した車両であるが、高松側先頭車は私たちの世代からみると、どう見ても「インベーダーゲーム」のキャラクターにしか見えない。それはともかく、N2000系車両など、松山では通常見られない車両を見るのは大変楽しい。それと、せっかく高松に来たのだから、さぬきうどんを食べたいと思う。さっそく構内で立ち食いの店を見つけたのだが、立ち食いということで、かずまるは全く身長が足りない。食べることにならない。しかたなく、かずまるには後で好きなものを買ってあげるという約束をして、麺を数本と水だけ飲ませてしまった。味はさすがに讃岐であると思う。かずまるも満足していた。

  

(左右とも:マリンライナー1号車グリーン席)

駅の構内をうろうろしたりしていたが、琴平電鉄を見ることを忘れてしまっていた。最近、鉄道に関しても、ついうっかりが多くなった。結局、なんということもなく時間をつぶして、9時21分発の快速マリンライナーに向かう。乗客にはやたら外国人が多い。彼らは全て1号車1階の普通車指定席へと入っていった。我々はもちろん2階のグリーン席へ座る。

マリンライナーのグリーン席は、2+2列である。しかも、足置き場がない。かつてのマリンライナーのグリーン席は海を向いての横配列ができたのだが、それもできないようである。また、岡山行きの車両は最後尾になるのだが、2階席にいる限りは前方の眺望は全くできない。高松側へ向かっている場合は、運転席直後の4列があるのみである。外観は派手になったが、中身は少々寂しい気もする。瀬戸大橋を渡り終える直前、かずまるが「サメがいた」という。すると、反対側の席に座っていた子供もまた「サメだ」という。本当かどうかはわからないが、何がそう見えたのだろうか。

9時53分児島到着。鷲羽山ハイランドの観覧車が大きく見える。それを見ながら「あそこへ行きたい」とかずまるが言う。また、いつか行くことになるかもしれない。などと10分ほどホームでぶらぶらしていると、4番ホームに列者が入ってくる。瀬戸大橋トロッコ&ゆうゆうアンパンマン1号である。時刻表では到着時刻が掲載されていないが、10分ほど停車するらしい。

  

(左:児島駅での2529M115系電車【拡大可】、右:児島駅での36Dアンパンマン列車【拡大可】)

予定外に早くやってきたので、かずまるのみならず、子供たちの歓声があがる。乗客はここからトロッコへ移動するが、子供たちは移動をしたがらず、「ゆうゆうアンパンマンサロン車」に居座って騒いでいる。

瀬戸大橋トロッコはゆっくりとした速度で児島を出発する。トロッコには転落防止策として、アクリル板が張り巡らされている。が、瀬戸大橋にかかると、風は結構冷たい。少々時期が遅すぎたような気もする。トロッコ車両にいる子供が親に「ゆうゆうアンパンマンサロン車」に行きたいとせがみ、親を困らせているのを見かける。この「ゆうゆうアンパンマンサロン車」には「保護者が必ずついていてください」という張り紙がある。実際、そうすべきなのであろうが、この車両内で遊んでいる子供の仲では、かずまるが一番大きいくらいである。それにかずまるはトロッコへ出たがらない。さらに、実は子供を監視する人がついていた。というわけで、私はトロッコと、「ゆうゆうアンパンマンサロン車」を行ったり来たりしながら時間をつぶした。

  

(左:「ゆうゆうアンパンマンサロン車、右:宇多津駅での「瀬戸大橋トロッコ&ゆうゆうアンパンマン号【拡大可】)

宇多津が近づいてくる。結局かずまるはついにトロッコへは出なかった。列車はこのまま琴平へ行って折り返してくる。が、バースデイ切符の乗車券では、この列車には乗れない。無駄な運賃を使うわけには行かないので、我々はここで降りる。

さて、後はこの宇多津から9Dで松山に帰るだけである。時間は1時間少々ある。が、ゴールドタワーへ行くだけの時間はない。そこで、かずまるに見う一度瀬戸大橋を渡るか?とたずねたところ、あっさりとうなずいた。「もう一度サメを見たい」

  

(左:宇多津駅での38D特急南風8号、右:児島駅での37Dアンパンマン列車)

時刻表を見ると、まもなく特急南風8号がやってくる。グリーン車は連結していないが、とにかくこの列車に飛び込む。宇多津から児島まで約14分、30分間隔で特急が走っている現状を見ると、複線の効力はすごいなあ、と思う。愛媛県内でも伊予北条〜松山間あたりは複線にしても・・・と思っていたが、香川県のJRへの依存を見る限り、愛媛県ではそれ相応の方策を打ち立てないと、JRにとやかくはいえないと感じたのであった。

児島到着は11時04分、40分ほど時間があるので、児島の駅前でもうろつこうかと思い、9Dの児島〜宇多津間の切符でも買っておこうと思って窓口へ行くと、なんと、JR四国の企画切符は児島駅では扱えないという。車内で買ってくれというので、仕方なく、児島11時12分発の37D特急南風で引き返すことにした。これはさきほど、瀬戸大橋トロッコ列車が児島駅にやってくる直前に岡山駅へ向かっていた列車である。我々はグリーン車にふんぞり返っていたが、結局車掌は来なかった。

この37Dは高知行きアンパンマン列車4連に徳島行きN2000系3連をつないでいる。つまり、宇多津で先ほどと同じ、切り離し出発を見た後、双方が逆方向へと出発していく。特に5069Dにいたっては、瀬戸大橋線下りホームから瀬戸大橋線上り線を横切って、高松方面への線路へ入っていく。模型みたいな運用であった。

  

(左右とも:宇多津駅でのでの「瀬戸大橋トロッコ&ゆうゆうアンパンマン号)

ここで、我々には最大の危機が迫っていた。指定席状況確認サイト「JR Cyber Station」で昨夜、9Dを確認したところでは、9Dのグリーン車は満席ではないものの、新居浜までは「空席が残りわずかです」、それ以降は「空席があります」となっている。私は2Cしか所持していない。つまり、かずまるを新居浜まで膝の上に座らせる可能性がある。新居浜までは団体が乗車するのだろうか。というわけで、少々卑怯な技を使うことにした。とりあえず、グリーン車は満席ではない。どこかに空席がある。しかも、すでに9Dは岡山を出発している。これからグリーン車に乗ろうという人はまずいないと考えられる。つまり、あと1席でも空いていれば、そこに座れる。そこで、もう1席5Cの指定席を購入した。これで最悪でも座席確保ができる。

そうこうしているうちに、先ほどの「瀬戸大橋&ゆうゆうアンパンマン号」が琴平から折り返してやってくる。かずまるは先ほどの監視員のお姉さんを見つけて、手を振っていた。この列車が宇多津を出発するやいなや、我々が乗るべき9Dがやってくるのが見えた。

さて、悪知恵を働かせてまで、着席にこだわった我々ではあるが、ひょっとして、同じことを考えた者が他にもいるのか?と疑ってしまうほど、グリーン車は空いていた。そのため、私は2Bに座って車掌を待っていると、車掌は切符を見ながら、「ああ、そこ(2Aと2B)は空いています」という返事。感謝するやら、疑問に思うやら・・・だが、安心してしまうと、このグリーン車のボックスシートは寝るにはちょうど良い。いつしか眠ってしまって、気がつくと今治を過ぎており、かずまるはボックスシートの中で完全に沈没していた。

松山到着は2分遅れの14時07分、これで1日を終えるのはもったいないのだが、かずまるの体力を考えて決行した。次はもう少し長めに(って、何時やるの?)特攻隊の日程を組もうと思ったのであった。

このページのトップへ      第2章へ進む >>