2006秋バースデイきっぷ旅行記(1日目・後編)

愛媛の「鉄」の紹介へ > JR四国の話題へ  JR四国旅行記 > 2006秋バースデイ切符旅行記
     

2006秋バースデイ切符1日目・前編へ  2006秋バースデイ切符2日目へ

     

(以下の撮影日は特に説明がなければ旅行日)

10月13日(金)窪川〜宇和島間4843D

さて、いよいよ、本日最大の眺望区間であり、最大の難所でもある予土線4843Dの旅が始まる。この列車はキハ32であり、宇和島までの2時間はトイレもなければ、トイレ休憩が可能な程度の停車時間もない。前述のとおり、今日は少々体調がよろしくないので、大変心配である。まあ、昨年4月の関口知宏さんは、トロッコに乗るときに堂々と(多分知らなかったのだろうが)車掌に(このときは車掌が乗車していた)トイレに行かせてもらっていた。

ただ、この4843Dは川奥信号場で4840Dを退避する他は、終点宇和島まで退避が全くない。出目や近永あたりはトイレの場所を記憶しているから、どうにもならなければ、運転士に頼めばなんとかしてはくれるのだろう。

  

(左:窪川駅の33Dと4843D、右:川奥信号場運転停車、4840Dとのすれ違い)

4843Dは地元の人数名と私のような旅行客3名ほどを乗せて、窪川を出発する。川奥信号場で運転停車して4840Dを退避するが、この4840Dはいうまでもなく、トロッコ運転時は後ろにトロッコを連結して走り、関口知宏さんが乗車された列車である。窪川〜江川崎間は最近できた線路だけあって、大体時速70〜80キロ程度で快調に走る。対岸に国道が見えるが、列車のほうが遥かに早い。

そのトロッコの上り最終駅である土佐大正を過ぎると、列車はトンネルの中で大きくカーブして、四万十川を渡る。その時の写真が左下なのだが、橋を渡るのが国道381号、そして、三叉路を直進するのが、なんと国道439号に再会するのである。宇和島から高知へ車で行くときは、国道320号〜国道197号を経て、須崎から国道56号に出るのだが、この場合も当然途中で国道439号と交差するし、松山から高知までの国道56号でも当然出会う。いずれも、うっかりすると見落としかねないような交差をする。徳島から林道とさほど変わらない道路状態で延々と続く国道439号に出会うと、なんだか懐かしいような、おおっ、頑張っとるか、という気になる。

この予土線であるが、窪川発着7本、宇和島発13本、着12本、窪川〜宇和島直通便は下り7本、上り6本しかない。面白いことに、八幡浜〜宇和島間も特急は下り17本、上り16本あるにもかかわらず、普通列車に限れば、上下とも11本しかないのだ。少ないと思われる予土線宇和島口よりも、八幡浜〜宇和島間の普通列車はさらに便数が少ないことが判る。

予土線の場合は、本来は国鉄再建法の元で廃止対象路線であった。それが存続したのは、並行する道路の未整備について特例が適用され、かろうじて廃止を免れたのである。故宮脇俊三氏「汽車旅12カ月」の中で、昭和51年に乗車した江川崎〜窪川間について「バスで3時間かかったところを49分で走り抜けてしまった。」と書かれている。当時は宇和島から高知経由で高松行きの急行があり、宇和島〜窪川間は快速であった。JRになってから一時期特急が走っていたが、それもなくなり、元のダイヤに戻った。この4843Dは同区間42・7キロを56分で走る。それ自体は沿線を走る車よりは早いのだが、江川崎〜宇和島間になると、35・1キロに65分もかかるのである。

  

(左:土佐大正駅を過ぎて国道439号との再会、右:四万十川、1年半前にカメラが回っていたところ)

並行する道路はどんどん整備が進み、左下のように巨大な道路橋りょうが建設されようとしている。窪川〜江川崎間の道路が完全2車線化した時には、同区間は列車よりも早くなる。そのときJRはどのような対応をするのだろうか。以前のように快速列車を走らせて対抗するのだろうか。それとも、一気に廃止論が進むのだろうか。

JRになった今、将来並行道路が完全に整備されたときに、即予土線廃止となるのかどうかは判らないが、すでにその動きは始まっている。予土線唯一の非ワンマン列車である831Dと852Dであるが、今年の6月頃からそれまで使われていた185系2連+キハ32(キハ54?)の3連からキハ32+キハ54の2連になってしまったらしい。(私は直接見ていないが、人から聞く話と、実際に宇和島車両基地を見る限りそう思える。)乗客が減ったからではなく、徳島地区の特急増発のため、キハ185系が転出して行ったというのが真相らしい。

だが、これにより予土線の列車は超満員になり、以前は出目までバス、そこからJRで宇和島に出てきた高校生は、バス直通の道を選んだらしく、あるいは、近永、出目からの高校生もバスに切り替えた者がいるらしく、最近831Dの混雑が緩和されてきたという。

廃止を前提として生き残った路線、予土線。あるいは、831Dの減便はJRの戦略なのだろうか。確かに、宇和島〜江川崎に関しては、県境の道路事情がよくないにもかかわらず、宇和島〜出目松山市が国道320号を使えば、相当ショートカットになることもあり、車で行けば45分もあれば十分に行けるのである。道路整備が完了すれば、さらに早くなる。将来を考えると、高知県内だけの三セク経営ということも考えられるが、土佐くろしお鉄道宿毛線の経営も怪しい今、予土線はどうなっていくのだろうか。

  

(左:四万十川に建設される国道橋りょう、右:宇和島駅1068D)

10月13日(金)宇和島〜松山間1068D特急宇和海18号

4843Dが宇和島に到着する時、懐かしいというよりも、毎日見る景色が流れる。ここまでくれば、もはや再会とは言わないかもしれない。それにしても、1068D宇和島出発までの時間が拷問のように思える。いつもでさえ、1072D出発までの時間を持て余して、宇和島駅周辺をうろついたり、なにか新しい発見がないかと探したりしているのに、ここで下手な散策をするのは自殺行為に等しい。

さらに、過去2年間3回(逆廻りした2005年冬を除く)の1068Dは同区間、ほとんど寝てしまっているのに、今回はいつもの1072Dと同様、八幡浜で目が覚め、あとはうつらうつら、これまた時間を持て余してしまった。車内は、4843Dからの青年が1人のほか、八幡浜からも乗り込んできて、思ったより乗車率が良かった。

だが、宇和島に通勤している限り、1068D乗車は避けたほうが良いとの結論に至った。33D乗車後、高知44Dで折り返せば、松山到着13Mの16時14分、須崎46Dで折り返せば、松山到着15Mの17時09分で1068Dと同時刻帰宅、土佐佐賀50Dで折り返せば、松山到着19Mの松山到着19時11分である。来年はこのようなプランに変更せざる得ないかもしれない。

そういえば、この1068Dであるが、車掌が2人乗車していた。通常4両の場合の車掌は1人だけに珍しい。しかも、同時にマイク放送をしたりして、結構笑えたのであった。さあ、明日からはかずまるが同行する。【2日目へ続く】(2006.10.25)

2006秋バースデイ切符1日目・前編へ  このページのトップへ  2006秋バースデイ切符2日目へ