昨 年発案した松山〜宇和島100キロ貫歩、そもそもその元は、私の登坂力の弱さから始まったものだった。が、1年を過ぎ、今や少々上りの負荷をかけないと汗 一つかかない、単に膝に負担をかけるだけという事態になった。そこで登場したのが先日の内子〜伊予中山だったのだが、当初避けてきた上りに挑戦してみるこ とになった。犬寄峠、笠置峠、法華津峠の3峠のうち、法華津峠は通行上の問題があるから、当面は前2つを考えることにした。それが今回の犬寄峠である。
左:伊予大平駅4639D、右:犬寄峠旧道から国道56号を見上げる この犬寄峠は、当初は風景を考えて源氏越えをして瀬戸内海に感動した。先日は赤海越えをして案外景色がよいので感動した。今回通る犬寄越えは一番ぱっとしないことが判っているが、通る以上は別のルートを行くのがよいだろう。 と いうわけで、いつものごとく腹筋運動を兼ねて1053D〜4639Dで伊予大平9時19分着。ここから上りが始まる。が、完全な登山道ならばわからない が、一応車の通れるような道を歩くのに、私の体力は、もはや減速しない。旧道は車が通れることが判っていたので、その道をさくさくと登っていく。途中から ダートになるが、一応車の通った跡がある。 この旧道は、国道56号の犬寄峠松山側から 逸れる横道近くに出るはずなのに、その約300メートル付近から道が完全に荒れてしまっている。いわゆる「ドロボー草」が一面にブロックしている中を無理 やり歩いた結果、休憩時間はズボンに張り付いた草の除去に相当の時間を費やした。このあたり、源氏峠でも気になったのだが、どうも伊予市の農道は荒れてい ることが多いように思う。
左:犬寄峠は途中まで廃道のよう、右:左へ行くと赤海 以 前笠置峠を越えたときも、宇和と八幡浜では雲泥の差があった。このときの笠置峠はシーボルトの娘イネが通ったという歴史ある道で、宇和側ではそのときのあ づまやまで再現されているのに、八幡浜側は痕跡すらなく、200メートルほど草を掻き分けてようやく農道を見つけたことがある。このあたりは、やはりへん ろ道があるかどうか、その後林道を造ったかどうかが影響しているのかもしれない。 ともかく、一度犬寄トンネル付近で事故でもあって、迂回路を走ったこともある道に出てしまえば、後は何の不安もない。先日歩いた赤海への道を越え、犬寄峠へと到着したときには予定よりも20分ほど早着となった。 こ こで、はたと考え込む。この後どんなに早く行っても、4648Dでの帰りになる。それならば、時間があるから、源氏集落へと迂回するのもいいかもしれな い。と思い始めていたのだが、長沢方面へまっすぐ尾根沿いに走る道が気になっていたので、そちらへと歩くことにした。伊予大平駅の標高が約90メートル、 伊予中山駅が約180メートル、国道56号犬寄峠が約300メートル、旧道犬寄峠が約360メートルなのだが、この道を歩くと約450メートルあたりまで 登ることになる。
左:犬寄峠の集落、右:明神山 が、 今の自分の体力を考えると無理な距離ではないので、迷わずそちらへと登っていく。旧犬寄峠付近では、源氏集落方面からの県道のバイパス工事が進められてい た。坂を登るのはたいしたことはなかったが、登っていくと「松森城森林公園」というところに出て、あとは急な下り坂が続く。下っていくと目の前に秦皇山が 見えてくる。 この秦皇山の中腹には「月の海(つきのさこ)」という集落がある。「赤海(あかさこ)」といい、海を「さ こ」と読む地名が1つだけでないということは、この「海」そのものに意味があるのだろうと思う。そう思いながら歩いていると、結構自分なりの思いがめぐら されてくる。以前、職場の研修所で翌日の課題のレポートを考えながら、その前職の仕事を手伝いに約1時間歩きながら、構想を練って、翌日は誰よりも早く書 き上げたことがあった。そのときの講師に「君の文章を書く爆発力はすばらしい」と評価された。決して文章の内容を褒められたわけではないのだが、歩いてい ると色々なことが浮かぶ。で、この「海」だが、赤海ならば、瀬戸内海が見えるし、と思ったのだが、この「月の海」を見ているうちに、いわゆるここでいう 「海」とは「星空(銀河:ミルキーウェイ)」のことではないかと思ったのだが、実際にはどうなのだろうか。
左:松山、伊予市街方面、右:伊予中山駅4648D そうこうしながら、結局伊予中山駅へは、予定よりも30分ほど早く到着した。時間があるので、月の海方面へ登って行こうかとも思ったが、一度精神力が切れると、もはやそんな力は残っていなかった。(2007.12.28、写真は全て敢行日撮影) |