ついに9時30分のスタートの時がやってきた。松山市長の号砲一発。 なんと、わずか約50秒でスタート地点を越えてしまったのである。昨年の3分30秒以上というのも困るが、今日の場合、スタートダッシュの混乱の恐怖が私を襲う。 いや、その前に冷静になろう。 まずは、坊っちゃん列車だ。私としては坊っちゃん列車の客車に乗っている土佐礼子氏よりも坊っちゃん列車の運転士の方が気になる。 運転士は「Tぃ兄」。思わず、みんなに手を振りながらも「Tさーん!」と声をかけたのだが、彼はちょうどそのタイミングで向こうを向いてしまって気づかなかったようだ。「おーい!無視するなぁぁぁ!!」と思っても、仕方ない。前進あるのみ。
で、 我に返ったところで、スタート直後の混乱に戻る。が、この道路中央よりのコースは、もうひとつの効果があったのだ。それは、道路中央部にいる限り、少なく とも右側からの圧力はない。後ろからの圧力は知ったこっちゃない。しかも、この先約500メートルで左折するから、人の流れも自然と左側へと傾いているの だ。まさに、一石三鳥のスタート地点であった。 これで、第一の恐怖は過ぎた。スタートダッシュをかけるランナーなぞ、 アウトオブ眼中だ。と、それにしても、ずいぶん抜かれていくものだ。が、私は強引に我がペースを守る。まさに、ゴーイングマイウェイである。そして、1キ ロ通過が6分10秒。ちょいと遅すぎないか?うーん、30秒は遅いぞ。最後の1週間ロクに走ってなかったから、体がペースを忘れたか?通常の昨年のよう に、周りのペースが遅すぎて進めないなら仕方ないが、今日の場合は抜かれ放題である。 自分で地雷踏んでないか?ちゅどーーーん! い や、ここは気を取り直して、前へ進もう。平和通に入っても、昨年と違って、前のランナーが邪魔で走れないということはない。冷静になれば、Bブロックの中 では、少なくともスタートダッシュは私が一番遅いと考えてよいだろう。2キロ11分50秒。ようやく、ペースをつかんだようだ。 このあたりで、既にもう1枚のビニール雨合羽が暑く感じられる。仕方なく、その合羽を腰に巻いて、最初に脱いだ合羽は手に持つ。もったいないが、最初の給水ポイントのゴミ箱に入れさせていただくしかない。 そ れにしても、周りの集団が落ち着いているような気がする。すると、「風船持ってる人がいるよ」と言う子供の声がする。ん?と振り返ると、なんと「4時間」 というナンバーカードをつけた、女性のペースメーカーがいた。そうか、それでこのあたりにその速度の集団がいるわけだ。 ただ、ペースメーカーって、実はイーブンペースではなく、後半滑らかに速度を落としていくんだったよな。ということは、少なくとも、前半は少なくとも1キロ5分30秒では走るはずだ。私の今日の目標は前半58分だ。無理して付いていく必要はない。 平 和通から国道196号へ出て、今回は道路を逆走していく。そして、ちょうど本町6丁目、消防署のところで、妻子が手を振っていた。それをいいことに、先ほ どから手に持っているビニール雨合羽を1枚、市内電車の軌道上に置いて、持って帰ってもらうことができた。やはり、我々は一般ランナーである。昨年の東京 マラソンラストスパートのように、サングラスやウォーマーを脱ぎ捨てて、懸命に走るなんてことはできないし、くれぐれもそういうことはしないようにと妻か ら言われている。もっとも、そんなもったいないことをする気もないけど。 そして、まもなく、本町7丁目の3・4キロ地 点にある最初の給水ポイントにさしかかる。普通ならば、無視するところだが、先述のとおり、ここで給水をとらなければなるまい。が、どっち側にあるのだろ う。そもそも、私は本町6丁目付近では、妻子の応援を受けるため、道路中央側を走っている。しかも、給水地点は私の反対側、つまり進行方向右手側にあっ た。スタート直後の混乱がなかった代わりに、給水ポイントでは、接触、また接触の大混乱状態の中、とりあえず、最初の給水を受ける。当然ながら水ではな く、スポーツドリンクを取る。 だが、私の不安はその向こうにある。それは、トイレである。すでに出発段階でトイレに行 きたかったのだ。この先4・6キロ地点、つまりパルティフジ姫原にトイレがある。私より速いペースの方々は、そんな最初からトイレにいくことはあるまい、 とタカをくくっていた私は甘かった。目的地へ到着すると、結構人が並んでいる。一瞬迷ったが、パス! 次の6・7キロ地点に賭ける。 そ して、まもなく5キロ地点がやってくる。すでに28分を過ぎている。最初のペースダウンは想定していたものの、実際には自分で地雷を踏んだだけとなると、 この速度は遅い。しかも、5キロポイントが、いつもより場所が向こうにある。これは、本町を逆走したため、その分距離が短いわけだ。だから、5キロ地点が 数メートル向こうにあっても不思議ではない。 とすると、折返し地点も変更されているのだろうか?まあ、そんなことは どーでもよい。5キロ(特に記載がなければネットタイム、以下同様)28分28秒で通過。1〜2キロを5分40秒、それ以降も1キロあたり5分33秒とい う計算になる。サブ4を狙うには、1キロ5分40秒、5キロ28分20秒が目安になる。私は前半1キロ5分36秒、5キロ28分00秒を目安にしているわ けだから、まだ十分修正はきくはずだ。と思うことにする。第一、スタートのロスタイムのストックが使えるじゃないか。 北 環状線の交差点を過ぎ、いつもの私の練習コースに入る。今日は当然車道を走るのだが、信号機はいつもどおり点灯している。歩行者信号が点滅を始めるとどう しても反応してしまうじゃないか。ここから、坂の始まる7キロ地点までの約1・5キロで5メートル以上下る。そこでペースの修正をしよう。そして、坂の始 まる直前にある6・7キロ地点のトイレに近づく。ペースメーカーはまだ真後ろにいるが、ここは仕方あるまい。そして、6・7キロ地点へ到着し、コースアウ トする。 な、なんと!トイレに誰も並んでいない。しかも、ちょうどドアを開いて出てくる人がいた。 ト イレでのロスタイムは昨年同様約1分。これまた、ラッキーなことであった。ただ、先ほどまで真後ろにいたペースメーカーは、当然ながら私がトイレロスをし た分だけ前へ進んでしまったわけである。まあいい。ここまでは計算以下のロスタイムできている。これで、全ての予定ロスタイムが終わったわけだから、あと は、単純に走るだけだ。ただ、下りでペースを調整しようとしていたのは全て無駄になったわけではある。仕方ないけど。 そ うして、まもなく平田の坂がやってくる。この交差点内にある7キロ地点がよく判らない。6キロ地点もはっきりしなかったし、9キロ地点もはっきりしない。 このあたりを感想として指摘している人もいた。昨年の8キロ疑惑なぞかわいいものだ。そういえば、問題の8キロ地点は昨年と同じ位置にあった。5キロ地点 が数メートル移動していたのに、それでいいのか?このあたり、昨年よりも地点表示がずさんである。そして、10キロがやってくる。57分24秒は、この5 キロ28分56秒である。トイレロス1分を除けば、この5キロは28分弱ということで、序盤の目標ペースでは走っている。だが、今日は気候が良いせいか、 抜かれ放題という状態でもある。 だが、さらに距離疑惑は続く。トンネル内にある11キロ地点通過は1時間03分30 秒。この1キロ6分06秒もかかっている。私の練習中、10キロショックという言葉をよく使ってきた。これは、私の練習コースの関係上、最初の5キロまで より、次の5キロ、つまりマラソンコースの8キロから13キロまでの5キロで速度が落ちるというものである。その原因は色々と考えてきたが、最近では前後 の風が舞っていることと、トンネル内で私の距離感覚が狂っているのかもしれないと考えていた。だから、10キロ地点を過ぎたところで、気にはしていたのだ が、それでいて、やっぱり速度が落ちる。そのトンネル直前の堀江駅付近で14Mが通過していく。ここでも決して鉄モードは忘れない。 が、 なんと、次の12キロは1時間08分30秒で通過する。これもおかしい。今の速度感覚からして、10〜11キロが6分06秒、11〜12キロが5分00秒 というのもありえない。このあたり、後で自分の記憶と写真を確認したところ、どうみても11キロ地点の表示場所がおかしいような気がする。 そ うしていると、ふと隣を走っているおじさんが「今、どのくらいのペースですかな?」とたずねてきた。先ほどの疑問を説明しながら「11キロ地点がおかしい のではないかと思います。多分、1キロ5分30秒程度で走っているのではないかと思います。」「そうですか。それは私にとっては少し早いですな。」とおっ しゃいながら、おじさんは少しずつペースを落とし始めた。 先ほどのおじさんの話は、後から考えると賢明であったと思 う。気候が良いから、最初から飛ばした方々が多いようだ。後で調べてみると、自己申告で4時間と書いたと思われる方々、あるいは、最終的に4時間 15〜25分程度かかった方々を見ると、最初の10キロを53〜55分で通過した方がかなり多いようであった。 このあたり、体調の問題もあったが、前半我慢した私は正しかったのではなかろうか。もっとも、それでは記録への挑戦は後回しになるが。(2011.02.11) |