愛 媛マラソンも中間点となった。後でグロスタイムで確認したら1時間44分58秒。ペーサーは見事なまでのペースを刻んでいる。ただ、このペーサーはもう少 し声をかけていただいてもよいのではないかとも思う?スタート前には「アスリートエントリーをめざしましょう」と話され、みんなで盛り上がったものだ。 仕方がないので私が「中間点です。1時間45分00秒です。グロスロスタイムを考えるとサブ3・5は射程内です。がんばりましょう!」 と声をかけた。結果的には「ものすごくシラけた」というのが本当のところだった。
で、 その中間点を過ぎたときの心境。4年前は「もう中間点?」、3年前は「こんなに楽なマラソンもあったものだ」、一昨年は「いよいよ来たな!さあこれから だ」、昨年は「何も感じなかった」そして、今年はずっとペーサーに張り付いていたこともあるのだろう。「これはマラソンではない!」だった。 とはいえ、ここまで強烈な追い風だったことを考えると、当然ながら後半は同じだけの向かい風を受けることになる。どの程度のペースで走 れるのか?そういう不安がよぎる。しかし、だからこそここまでペーサーに張り付いてきたのだ。この集団を風除けにする以外、そしてペーサーに張り付いてい れば、少なくとも3時間30分は切ることができる。 そして、向かい風の洗礼は始まった。立岩川の上りが終わり、さらにその先の坂を越え、北条鹿島めざして一気に下るとき、強烈な向かい風 が襲う。前傾姿勢をとり、できるだけ風を受ける表面積を小さくする。これは「旅ラン♪ まろのランラン日記」のまろさんのプロ具の中で、かつて「金哲彦」さんの講座でたずねた内容である。この戦法は前回「坊っちゃんマラソン(ハーフ)」で実 践し、無事後半の向かい風の中、自己記録を更新した。 だが、向かい風だけでなく、もうひとつの敵が現れた。25キロ手前の折返し地点へと向かう道に差し掛かったころ、「雨」それも「みぞれ 混じりの雨」が降り始めたのだ。 もっとも、雨の強さだけならば、持参しているポンチョを着るほどのものでもない。ただ、氷雨が情け容赦なく脚に降り注ぐ。下半身はポン チョでも対応できないから、今ポンチョを着ても何のメリットもない。 そうして、「上り坂」「強烈な向かい風」「氷雨」という中、ようやく25キロ手前の折返しを通過。25キロは2時間03分38秒(20 -25は24分56秒)で通過する。 25キロ先は、これまでずっとパンを食してきたのだが、今回のこの大集団では給水・給食ポイントは戦争となる。結局持参したゼリーをこ こで食し、スポーツドリンクだけで通過する。これから先は無理をして給水せず、持参しているOS1を飲むほうがよいのではないか、という思いがある一方 で、向かい風で集団に張り付く場合はどうしても、歩道側を走ることになるから、給水は比較的可能か?という思いもある。 氷雨が降り続く中、追い風区間を過ぎ、いよいよ再び国道196号へと帰ってくる。だが、どうも自分の集中力が前回までと違う。対面を走 るランナーが視界に入らないのだ。後で考えると、やはり大集団の中にいるから、前後左右のランナーが気になっていたのではないか?とも考えられる。 一方で、再び向かい風となった国道、すなわち以前から私が「かったるくて」ペースの上がらなかった区間なのだが、ここへきてペーサーが ペースを上げたようだ。キロ4分50〜52秒で推移するようになってきている。 そして、いよいよ復路の天井川群が始まる。25キロまでの坂では、前回のような大腿前部のだるさは感じなかったが、今回は逆に大腿後部 に違和感を感じる場合がある。 30キロを2時間27分59秒(25-30は24分21秒)で通過する。このあたりから微妙に大体前部にも重さを感じ始める。というよ りも、脚が重いと思ったら天井川の上り坂だったというわけで、脚が止まったというわけではない。なによりも、前回大阪マラソンの疲労と比較ができる。 32 キロを過ぎてもキロ4分50〜52秒のペースは続く。だが、この32キロで集団が割れたような感じがした。それまで大集団の中、どうしても人が邪魔になっ てある程度ペーサーと離れたところで延々付いていたのが、ここで一気にペーサーの真後ろへ張り付けたのだ。ここまで来たらこれはもうペーサーに最後まで張 り付くしかないのかもしれない。 ここからいよいよ復路のトンネル区間に入る。しかも、GPSが「LOST」と表記されるため、33キロの記録が全くわからない。という のも、距離表示については、大阪マラソン同様かなり誤差がでる。これはあるいは、周囲のGPSさらに自分も含めた距離チップによるのではないか?とも思 う。さらに、電波時計にまで誤差が発生している。生き残っているのは、唯一「ストップウォッチ」だけ。それでも、愛媛マラソンに関しては、コースを知り尽 くしているから、自分の速度を図ることができる。 だが、トンネルを抜けた34キロでタイムを見たところ、ペースが落ちていることに気づく。ペーサーに張り付いているというのに、キロ5 分を超過している。これで3時間30分を切れるのか?不安の中、35キロを2時間52分57秒(30-35は24分58秒)で通過する。単純考えると、こ の3キロに15分10秒程度かかっていることになる。 いずれペーサーはペースを上げる。そしてペーサーは35キロ付近で私設エイドへ、つまり左へとコースを変えた。ペースが一瞬落ちた。だ が、私はもはや落とすわけにはいかない。ペースの上げ下げができる状態にない。多分氷雨のために下半身が重くなったのだろう。そのまま集団から抜け出す。 だが、なんとペーサーは私の前へと戻ってきたのだ。再びペーサーに張り付く。 そして、いよいよ復路平田の坂が始まる。脚は重いが、実は昨年ほどは苦しくなかった。ここへきて上りの走り方に変える。前傾姿勢をと り、腕を後ろへ大きく振る。 だが、そこで前のペーサーと速度が合わないことに気づく。今度は道路中央へ出て、ペーサーを追い越す。ともかく、ここだけは自分のペー スで走るしかない。だが、ペーサーはまもなく36キロというところで、実に軽やかに私を抜き、再び前に出たのである。このときのペーサーは「実にえげつな いスピード」に見えた。いや、確かに体力、実績を考えると、そりゃ「私なぞ遊ばれてもおかしくはない」とは思うのだが、一方で、ずっとペーサーに張り付い ていた私は「いったい自分は今何をしているのか?こんなことをするために1年間練習をしてきたのか?」という自問自答をしていたのだ。 平田の坂を上り終え、下ると37キロ。そしてその295メートル先がいよいよ残り5キロとなる。37キロを3時間02分50秒で通過し たから、残り5キロまであと1分、グロスロスタイムを考えると、キロ5分で走ったとして、ペーサーは3時間29分30〜40秒でのゴールになる。まあ、キ ロ5分を切るペースと考えると、3時間29分20秒くらいのゴールを考えているのかな?と漠然と思った。 だが、そこから、考えられない結末がまっていたのだ。(2015.02.18) |